皆さんすでにご存知かと思いますが、東御市(とうみし)を中心に千曲川に沿った上信地域は、その気候風土がワイン造りに適しているため、小さいけれども個性的なワイナリーやヴィンヤードが多く作られています。一帯は「千曲川ワインバレー」と呼ばれ、新たなワインの産地として、注目を浴びています。
中でも東御市は、ダントツにワイナリーやヴィンヤードが多く、今でも新規参入者が増え続けています。毎年新たな銘柄のワインが誕生しているため、名前すら覚えられない状態です。
御牧原てらすでは、お客様にそんな「千曲川ワインバレー」の美味しいワインたちを、ぜひともご賞味いただきたいと思っています。
思ってはいるのですが、小さな宿ですのでそれほど多くのワインをストックすることができません。そもそもどれが美味しいのか…残念ながら、すべてを自分で試飲するわけにもいきません。(試飲したところで分かるかどうかも怪しい…トホホ)
実は開業して5年、ずっとそのことを悩み続けていたのです。
しかし、ある日とてもいい考えが浮かびました。そうだ!「ワインチャペル」にソムリエがいらっしゃるではないか!
「東御ワインチャペル」は田中駅近くの 一押しイタリアンレストラン
田中駅から歩いて5分くらいのところにある「ワインチャペル」は、かって結婚式場として使われていたチャペルの建物を改装したイタリアンレストランです。
店を切り盛りするのは石原さんご夫妻。5年前に東京からこちらに移り、新たに店を始められました。
わざわざ東京から「追っかけ」のお客さんが来るほど、シェフ(ご主人)の作るお料理は素晴らしいです。
そして奥様はソムリエ(ソムリエール)。非常に知識が豊富で、お料理にあったワインをピタッと選んでくださいます。つかず離れずのおもてなしも、食事を楽しいものにしてくださいます。
さらにワインチャペルでは、千曲川ワインバレーの個性的で美味しいワインたちを、すべてグラスで飲めるんです。普通はあり得ないですよね?
(その上、お店でワインを買うことまでできます。気に入ったワインをその場で買って帰れるのですよ!最近オンラインワインショップまで始めたそうです)
石原ソムリエ セレクトの ワインたち
僕たちは、一度伺っただけで、ワインチャペルさんのファンになりました。そして、提携レストランとしてお付き合いいただくことをお願いして、外食プランのお客様をお連れするようになったのです。
そして、昨年暮れからは、奥様にお願いして、てらすに置くためのワインを選んでもらっています。
選んでもらっているのは、普段あまり飲まれない方にも気楽に楽しんでいただけるようなワイン、ワイン通のお客様にも納得いただけるようなワインを、赤と白それぞれ2本ずつ。またシードルや、最近増えてきたハーフボトル、ちょっと面白いものがあると、それも混ぜてもらっています。
しかも石原ソムリエによる解説が一本一本についていますので、お客様に説明ができますし、私たちも勉強になります。今回も全部で7本のワインを用意することができました。
それでは、2月、3月のワインをご紹介します。
まず白から
①はすみふぁーむ (東御市)2020 本州の甲州
品種:甲州 /
甲州種好きの蓮見さんが昨年12月に初リリースした、信州、羽州(山形)、甲州(山梨)の三つの県の甲州種をブレンドしたワイン。
それぞれの県のブドウが持つ、シャープさ、ミネラル感、力強さという特徴をバランスよく仕上げています。
このブドウは果皮の色がピンクがかっているので、ワインも少しピンクがかった色合いです。お刺身や牡蠣など生の魚介系やサラダなどと相性ぴったり。
②ナゴミ・ヴィンヤーズ(東御市)2019 シャルドネ oak
品種:シャルドネ /
オークの樽で発酵、熟成したワインを中心にしたふくよかな味わいの白ワイン。
黄色のバラや熟した杏の香りなどに、樽由来の香ばしいナッツの香りがアクセントに。酸味が穏やかでボリュームのある味わいなので、クリームソース系のお料理、白身のお肉に合いそうです。
次は、赤
③カーヴハタノ (東御市)2018 CHIKUMA カベルネ&メルロー
品種:カベルネ・ソーヴィニョン、メルロー /
購入した(自社畑でない)千曲市のブドウで作ったワイン。
気候が暖かい千曲市では、東御市では完熟が難しいカベルネが良く育ちます。このブレンドはボルドーブレンドと呼ばれていて、どっしりとしたワインが連想されますが、こちらはブドウ樹齢が若いこともあり、軽やかな味わい。
口に含んだ瞬間は軽く感じられますが、薄いわけではなく、じんわりと果実味が湧いてきます。スルスルと進んでしまうワインで、火の通ったお料理全般に合います。
ぼんじゅーる農園(東御市) 2019 くらかけ・ねつピノ・ノワール※委託醸造
品種:ピノ・ノワール /
今年の春に東御市称津(ねつ)にワイナリーが完成する蓑輪さん。
注ぎたては色も明るく、香りも控えめですが、そのままにしておくと色もどんどんと濃くなり、香りも濃厚になってくるので、大きめグラスでゆっくり飲むのがお勧めです。
渋みが少ない品種なので、和食全般に合わせやすく、ワインを飲みなれていない人にもお勧めしやすいです。1000万部を売ったワイン漫画「神の雫」の原作者も褒めていたワイン。
ヴィラデスト(東御市)2019 ヴィニュロンズリザーブ シャルドネ 375ml
品種:シャルドネ /
洞爺湖サミット、伊勢志摩サミットでも提供された、ヴィラデストの最高峰ワインで、2019年はビッグビンテージと、どのワイナリーも口を揃えています。
豊かな果実味と樽熟成によるボリューム感、標高850メートルに位置する畑の冷涼な気候が生み出すエレガントさが魅力。
お料理もボリューム感のあるメイン料理と合わせて、またはワインだけでゆっくりと楽しむのもおすすめです。
続いてシードル
ドメーヌムラヤマ(東御市)2020 シードル Contadino ※委託醸造
品種:サンフジ、紅玉 /
野生酵母で発酵、無清澄、無濾過なのでわずかに濁りがあります。亜硫酸は極少量添加の自然派シードル。
泡は控えめで、抜栓後二日目、三日目の方が香りも味わいの旨味もます印象で、ガスは弱くなりますが、その方が料理とは合わせやすくなると思います。白菜や蒸した豚(シュウマイも)や鍋料理とのペアリングをお勧めします。Contadino=農家(伊語)
最後はオマケ
ミリボーテ(小諸市)ワイン用ブドウのジュース
赤ワイン用のブドウ品種・メルロー&カベルネフランで作ったジュース。ワインを作るときに、タンクに入り切らなかった健全なぶどうを使っています。
濃厚な甘みと後味にスパイシーさがある、大人向けの味で、ストレートでもクラブソーダで割っても美味しいです。
同じブドウで作ったワインもあるので、飲む人にはワイン、飲まない人にはこのジュースと、一緒に楽しんでいただけます。煮詰めて、デザートなどのソースにもおすすめです。
千曲川ワインバレーの美味しいワインとともに、心づくしのお料理を
いいかがでしたか?僕なんかは、解説を読むだけで、飲みたくなってしまいます。
シェフとしても、ワインに負けないよう、いや、ワインとのマリアージュを楽しんでいただけるよう、ワインリストを意識しながら料理を考えるのが楽しみです。
ぜひ、石原ソムリエセレクトの美味しいワインと、てらすの心づくしのお料理を味わいにいらしてください。お待ちしております。